

源氏物語宇治十帖の舞台、宇治を題材にした短歌コンクール入賞作品を発表します!
宇治市内より71首のご投稿をいただきました。誠にありがとうございました。

高田 ほのか氏(歌人)
宇治鳳凰ロータリークラブ選考委員会
令和を生きる自分が、『源氏物語』に登場する浮舟の心と交差する感覚を、掛詞の「うきふね」を使い、体感をもって表現されています。千年を超える時が、三十一音でつながりました。
「トビケラ」というマイナスイメージのものを、街灯を使い、「じゅうたん」という美しい比喩に変身させました。下の句の実感が、上の句の幻のような情景に説得力を出しています。
子どもの頃、巨椋神社の祭の中にあった、無邪気な笑顔の自分。並んだ御神燈の灯りと笑顔がリンクし、未来の子どもたちを想う心が、結句の「つづけ」で願いとなりました。
ダイエットのために始めたウォーキング。しかし、気づくと、新しくできた店の抹茶ソフトに引き寄せられていたんですね。チャーミングで憎めない人物像が、いきいきと描かれています 。
硬くなった茶団子にリアリティがあります。それをレンジで温めるわずかな時間に目元を癒やす。せわしない現代をたくましく生きる、ひとりの女性の姿が見えてきます。
どこから手紙を出すのかと読み進むと、「茶壺ポスト」にたどり着きます。結句に固有名詞として据えたのが利いていますね。実際にお茶の香がすることはないけれど、わざわざ茶壺ポストに入れにいく。その行為に、一人息子(一人娘)への愛情がにじみます。
お札と硬貨という身近なアイテムをうまく取り入れ、三十一音をユーモアたっぷりに描いています。その内側には、宇治を誇りに思う主体がいるのでしょう。
古く、宇治という地名は兎道と書かれ、宇治はすなわち「うさぎの道」を意味しました。夜に入ってゆく冬の宇治(兎道)を舞台に、宇治川にはるか遠くまで引かれたうさぎの道。そのまぶしさは、読む者のまぶたにいつまでも残ります。
「杖」という一文字で、主体の年齢や身体のフォルムが浮かび上がってきます。腰句(第三句)に恵心院を据え、過去と現在をが交差する感覚。年齢を重ねたいま追っているのは、花筏という名の、幼い日の記憶でしょう。